お知らせ
介護ロボットの未来に向けてのリビングラボ
高齢化が急速に進む日本では、高齢者の独居あるいは配偶者との2人暮らしが急増し、人口減少と相まって介護が切実な問題となっています。人材不足を補うためには、急速に発展しつつあるテクノロジーを利用した介護ロボットが有力な解決策です。ただし、介護ロボットは、必ずしも医療知識が十分ではないユーザーやその同居者が操作することが多く、安全性の担保は決して容易ではありません。また、その使い勝手は実際の現場で試してみないとわからないことも多いです。そのため、国立長寿医療研究センターのリビングラボにおいて工学、医学、介護の専門家が集結することで真に実用的な介護ロボットの開発、実証、普及を目指します。克服すべき技術的な課題も多いですが、コロナ下で急速にウェブ会議が広まったように、必要性が高いものは必ず普及します。介護ロボットと共存する未来の暮らしを期待しています。
健康長寿支援ロボットセンター
センター長
加賀谷 斉
Hitoshi Kagaya
暮らしを科学で可視化しリビングラボから未来社会を創り出す
私たちのリビングラボは、高齢社会における暮らしの課題を科学的に評価し、解決策を共に生み出す実証拠点です。200㎡規模の生活模擬空間に30台を超えるカメラや高精度センサを備え、歩行・起居・更衣など多様な日常生活活動を計測することで、高齢者や介護者の動作や負担を定量的に評価できます。ここで得られた知見は、移乗支援ロボットや見守りセンサ、モビリティ機器などの社会実装へ直結し、安全で自立を支える生活環境の構築に寄与します。さらに、地域住民、企業、自治体との協働を重視し、技術が実際の暮らしにどう根づくかを共に検証しています。本ラボは挑戦と共創の場として、誰もが安心して暮らせる社会の実現をめざしてまいります。
健康長寿支援ロボットセンター
副センター長
加藤 健治
Kenji Kato
「生活空間(Living)を実験室(Lab)に」をコンセプトとし、
新しいテクノロジーの開発にユーザーが参加するオープンイノベーションの拠点を意味します。
リビングラボの実証空間
室内スペース(寝室、リビング、台所、トイレ、浴室等)と屋外スペース(階段、スロープ、悪路等)を模した空間で、日常生活を再現することができます。また、アシスト技術・ロボットを対象者の目的に応じて試すことができます。安全性に十分配慮しながらモビリティ支援やバランス機能の評価など、実証研究を進めています。
リビングラボ
つの役割
- 介護ロボットなどのニーズ調査現場でのニーズを集約し、
開発企業に助言します。 - 介護ロボットなどの製品評価・効果検証医療・介護における安全性や
有効性の評価・検証を行います。 - 利用効果の科学的な実証に関わる支援効果指標や測定・分析方法の指導、
および倫理審査などの支援を実施します。 - 介護現場での実証支援介護現場(実証協力施設)と
開発企業とのマッチングを支援します。